
<公正証書とは何か>
私たちは日常生活の法律上のトラブル発生を事前に予防するために「契約書」や「念書」、「覚書」などを作成することがあります。
事前に契約書等を作成することは事実関係の証明に役立ち、いざ訴訟になった場合に威力を発揮します。しかし、一般の個人が作成したものですと重要な事項を欠いていたり、法律的に意味を持たない取り決めになりかねません。
確実な方法で証明力のある書類を作成することが必要となる場合に活用されるのが「公正証書」です。
「公正証書」とは、公証人が、その権限に基づき厳格な手続きを踏んで作成する書類のことです。
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<公正証書の3つの効力>
公証人の作成する公正証書の効力は、一般の個人が作成する書類に比べるとどこが違うのでしょうか。
公正証書には
①証拠力としての効力
②債務名義としての効力
③心理的圧力としての効力
の3つがあります。
①証拠力としての効力
私人間で作成される契約書などとは異なり、これらを公正証書にすると、これに記載された内容が公に証明され、真正に成立した公文書との推定を受けます。つまり私人間での契約書などよりははるかに高度の信憑性があるものと考えられるのです。
裁判などのケースで証拠として提出された公正証書は裁判官がこれを証拠として採用できるということです。
②債務名義としての効力(民事執行法22条1項5号)
債務名義とは、それにより強制執行をすることが認められる文書のことをいいます。
強制執行とは、裁判所や執行官といった国家権力の力により、権利の実現を図る手続きのことです。
一般の契約書と公正証書との最大の違いは強制執行できるかどうかにあります。
例えば一般の金銭消費貸借契約書などの場合には、債務者が期限までにお金をかえしてくれなかったら、一度裁判をして通さなければいけませんので大変な労力と費用がかかります。
しかし、公正証書を作成しておくと訴訟の手続きを経なくても、すぐに強制執行に入ることができます。
この債務名義が認められるということが公正証書を作成するうえで重要であり、最も活用されている効力なのです。
しかし、すべての公正証書に債務名義が認められるわけではありません。金銭を支払う債務が、一定数量の代替物(他と替えることのできる物。例、米・麦)・有価証券(株式や債券などの財産的価値のある権利が表されている証券)を給付する債務でなければなりません。
また、公正証書に債務者の「強制執行を受けてもよい」という文言(執行認諾約款)が記載されていなければなりません。
つまり「金銭の一定の額の支払いまたはその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」についての公正証書であってかつ「執行認諾約款」(強制執行受けても文句ないよということ)が記載されていれば債務名義となり、ただちに強制執行できるのです。
③心理的圧力としての効力
上記①②のように公正証書には極めて強力な証拠としての効力と一定額の金銭の支払いについての公正証書で執行認諾約款があればただちに強制執行ができます。
公正証書を作成した相手方(債務者)に対しても公正証書どおりのことを履行せよという心理的なプレッシャーがかかります。
執行認諾約款のある公正証書があれば約束に金銭支払いが滞った場合には裁判しなくても給料の差し押さえなどの強制執行することが可能になりますし、また裁判での有力な証拠にもなるので相手方としても争うのに不利な状況に追い込まれます。
公正証書があれば相手方もできるだけ約束どおりにやろうという心理的な圧迫を与えることになります。このように金銭の支払いなどのケースで相手方に対して強制執行という事実上の心理的圧力も公正証書の重要な効力でありこれを巧みに活用することで、後々のトラブル・揉め事を避けることができます。
また、公正証書の原本は公証役場に保存されますので紛失・偽造・変造などの心配がないというのも公正証書の効力といえます。
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<公正証書作成にかかる公証人手数料>
公正証書の作成の手数料等は政府が決めた公証人手数料令により法律行為の目的価格に従って次のように定められています。
目的の価格(慰謝料及び財産分与の額)
100万円以下 ⇒ 5000円
100万円~200万円以下 ⇒ 7000円
500万円~1000万円以下 ⇒11000円
1000万円~3000万円以下 ⇒17000円
3000万円~5000万円以下 ⇒29000円
5000万円~1億円以下 ⇒43000円
かなり大雑把な目安です。
このほかに家やその土地を分けたり、養育費の取り決めなどがあれば手数料の額もかなりかわってきます。
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